【一生着続けたい服】映画「繕い裁つ人」を観て
ちょっと個人的に思い入れのある映画「繕い裁つ人」を観ました。
1月末から映画は公開開始されたものの、浜松では遅れて3月下旬から4月上旬の公開。
シネマイーラ というコンパクトな映画館で上映されました。
むしろ大規模な映画館ではなかったから余計に良かったのかもね。
この映画、日を改めて2回観たの。
ええ2回。
2回観ると、ああこの場面の女優さんが着ている洋服があの場面のあの洋服だ!なんてこともわかる。
そして違うポイントで泣ける。
私が同じ映画をお金を払ってまで短期間に観るのはとても稀。
それぐらい「もう一度観たい!」「やっぱり観て良かった!」って思える作品に出会えるのは、本当にラッキーなことだと思う。
すでにまたもう一度観たいもの。
衝動のままに、2回目に映画観た後ついコミック原作(全6巻)も買ったよ!
ついでにスピンオフ版の「サウダーデ」(全2巻)も買ったよね!
映画だって当然DVD化されたら絶対買うよ、私は!!
映画「繕い裁つ人」は主役も脇役もすべて素晴らしい!
舞台は神戸の街。
祖母から受け継いだ南洋裁店の二代目店主、主人公の南市江を演じるのは中谷美紀さん。
洋服作りに対する自分のポリシーを絶対に曲げない頑固者の役。
中谷美紀さん、大好きな女優さんの一人です。
凛とした佇まいと強さに、透明感と儚げさを併せ持つとても美しい人。
ドラマ「JIN-仁-」の野風花魁役は彼女だからこその存在感だなーと今でも思う。
映画「繕い裁つ人」はね、その他脇役がまたね、すこぶるいいんだわ。
中尾ミエさんに、伊武雅人さん、余貴美子さん、片桐はいりさんたちベテラン勢の味。
黒木華さんと、杉咲花さん(クックドゥのCMの食べっぷり演技もたまらない)の二人のそれぞれの可愛らしさ。
あと、あれね三浦貴大くんね。
いいよ、いい。
ファイト一発じゃない貴大君、いいじゃないか!
それと名前はわからない俳優さんや女優さんたち、近所の住民役の方々とかね、すべていい。
私は原作を読んでから映画を観たクチではないので、最初から原作派の方々にとっては全然違うなあって思うかもだけど。
映画「繕い裁つ人」を観るなら青色に注目を!
ストーリーに関しては、是非原作や映画そのものを観ていただきたいのでここでは詳しく語りません。
おいこのブログ、好きなものについて熱く語るがテーマじゃないのかふざけんなって感じですが。
ただ、「繕い裁つ人」を観るならば青色に注目してほしい。
スカイブルーに、ダークブルー、ロイヤルブルー、青を基調とした数々の洋服たちだけでなく、青の色が活きている街並みや風景にも注目してほしい。
そして中谷美紀さん演じる市江が青色の強さに決して負けることなく、軽やかに着こなしている。
青色は美しいけども強い色なので、人によっては色負けして寂しい印象になるのだけど彼女の場合は違う。
彼女の場合はより高貴な印象になる。
さて、映画「繕い裁つ人」には、決して派手なシーンもエログロもないです。
映画を観てわかりやすく刺激が欲しい人には物足りないかもだけど、じわりと心に入ってくる。
きっとそれは、主人公が隠し持つ洋服への情熱や葛藤が随所で青色にちりばめられているからかもしれない。
そういえば、炎の色も青く燃えている方がより温度が高いよね。
「繕い裁つ人」は一生着続けたい一着が欲しくなる映画
洋服は布地なのだし、どうせ消耗品なのだから既成服で問題ない。
だからわざわざオーダーして作るまでもないし、着る機会もそうそうないかなと。
今までそう思ってきたし、これからも根本的な部分は変わらないと思う。
毎日着る服に関してはね。
でも一生に一着でいいから、ずっと着続けたいと思える洋服が欲しいなあと「繕い裁つ人」を観て強く感じたんです。
考えてみると私、死ぬときにこれを死装束として着せてもらいたい一着ってない。
そのぐらい愛着のある洋服って持っていない。
母からもらった着物などはあっても、それはあくまでも母が選んだもの。
最初から自分自身が望んだものではない。
既製品だとどうしても、その洋服に自分が合わせることになる。
ウエストがだぶついたり逆にピッタリすぎたり、肩や袖のところに変なしわが寄ったりしてもまあいっか的な妥協も必要。
簡単なお直しである程度フィットはするものの、お直しの技術が低いところに依頼するとそれ以上直せない。
その時その時の体型や年齢の変化に合わせて、ずっと心地よく着られる洋服が欲しいな。
結局のところ、自分にピッタリの洋服を既製品から見出すのって至難の業だよなあ。
「繕い裁つ人」には今の自分に響く台詞がきっとある!
「繕い裁つ人は」は穏やかに進んでいく映画だけど、ハッとする台詞が多い。
特に主役が多く放つのだけど、中でもコレ。
祖母がよく言ってた
お洒落は自分のためにするもの
でも
とっておきの服は
たった一人の
誰かのために
着るもんだって池辺葵 繕い裁つ人(1) (KCデラックス Kiss) P54 より
この台詞、映画と原作で同じ言い回し(のはず)なのですが、うおお!って来て。
そう、お洒落自体は自分のために、自分の楽しみとしてするもの。
でも大好きな人に会うときの一着はできるだけとっておきのものを着ていきたいよなあ。
これって、なんとなく、
尾形真理子「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」感想 – nerumae
に通ずるものがあるのかもしれないな。
やっぱり洋服もただこれさえあれば他は別にいいって思えるレベルで好きな物に触れたり、感じて生きていきたい。
その洋服に自分を合わせるのではなくて、その時々の私に合わせられるような仕立ての良い物が一着欲しい。
そのためにも是非このお店で洋服を作りたい!と思う洋裁店を探すのが先だなと。
南洋裁店みたいなところ、ないかな?
もしなんだったら自分で縫うか?(無謀すぎる)
この他にもグっとくる台詞の多いこの映画、きっとみなさんみなさんで違う台詞が強く印象に残るはず。
映画「繕い裁つ人」まとめ(というかあとがき)
まずは、映画「繕い裁つ人」を是非とも観てください!
あまりいろいろ詰め込まないで観た方が、いろんな発見があると思うし。
主人公の内なる葛藤とかそれでも凛として生きる姿とかほんと素敵だし。
原作も心穏やかに読み進められる作品なので、良いよ。
最近いろいろ疲れたなあ、って思ってる人には特におすすめです。
ああ、先着2,000個限定マスキングテープ(青)欲しかったな。
↑4月30日現在まだこれから上映開始の地域もそこそこあるので、チェックしてみて!
映画「繕い裁つ人」のチーズケーキを食してみたい。
— よつば (@4leafclover7) 2015, 4月 26
チーズケーキ!
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