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節約成功の秘訣

2話:節約を成功させたい?人生で成功したい?―だったら曝け出すの。心の奥の「ギラギラした欲望」を!

半額に割り引きされた弁当をGETし喜ぶ亮

「お、半額弁当get♪ラッキー」

―― 閉店間際のスーパーで売り切りのセール弁当を手に喜ぶ亮。

ごちそうさま!

部屋のテーブルで弁当をたいらげる。夕食はスーパーの半額弁当。飲み物は水道水。

「節約のためとはいえ、キツイな〜」

―― テーブルに突っ伏すと、疲れですぐに寝落ちしそうになる。

相変わらず仕事はハードだった。

って、ヤバイ!
寝る前にコンセント抜かなきゃ

慌てて飛び起きると、亮は待機電力を使う家電のコンセントを片っ端から抜き始める。

「やっと寝れる…」

―― そしてそのままベッドに倒れ込んだ。


















週末。亮はミカサに呼び出され、例のビルに来ていた。

節約エージェントのアジトに向かう亮

腹へったな…

―― 腕時計を見る。約束の時間よりもだいぶ早く着いている。

「まだ時間あるし、なんか食うかな」

―― ビルの周りを見渡すも、特にめぼしい店もない。

うーん、外食するのもったいないし…。
節約のため我慢我慢

―― ビルに入り、部屋をノックする。

—コンコン
—コンコン

相変わらず返事なし?

―― 二度目だということもあって躊躇なくドアを開けた。

「こんにちはー…。槙島です」

亮の顔を見て驚くミカサ

―― カウンターの前に座っていたミカサは亮の顔を見るなり言った。

あら?あなた何だかやつれてない?仕事そんなにハードなの?

―― そういえば、食費節約のためにあまり食べていないせいか体重が減っていた。

そうですか?

食費を節約しようと思って、飯を抜いてるからかな?

なんですって?

―― 聞き返すミカサに、亮は得意げに答える。

一日二食にして、飲み物は水オンリーです。他にも光熱費節約で電灯は一部屋だけ、トイレのタンクにペットボトルを入れたり、シャワーを水にしたり…

なに勝手なことしてるの?!

―― ミカサは突然立ち上がり、怒り出した。

指示があるまで余計なことはしないで、って言ったでしょ!

えええっ?!

―― 自分なりに節約を始めたのに、褒められるどころかいきなり怒鳴られる。予想だにしない展開にただただ驚くしかない。そんな亮の様子をみて、冷静に戻ったミカサは声のトーンを落として言う。

節約っていうのはね、一瞬の勢いや思いつきでやってもダメなのよ。

ど、どうして?

―― 亮にはまったく理解できない。

そんなの意味ないからよ。

例えば、ダイエットも一緒。思いつきで始める人が多いけど、すぐに戻るでしょ?最初だけは勢いで頑張るけど、ほとんど続かない

―― 亮はダイエットをしたことがないけれど、確かに周りのダイエッターはリバウンドしまくってる気がした。

あなたの節約もいっしょよ。

無茶な節約なんてしてたら続くわけないじゃない。
そんなの意味がない頑張りなの。

―― 良かれと思っていたことを完全に否定され、さすがに凹む亮。

しかも、食費節約のために栄養価の低いものばかりを食べてるなんて…。体を壊したら本末転倒よ。節約した分が医療費になるだけじゃない

―― 確かに節約で食事を抜いたり、ろくなもの食べてないせいか、ここのところ亮の体調は常にイマイチだった。

無理をしないと節約って成功できないって思ってたけど…

―― がっくり肩を落とす亮にすかさずミカサは言う。

違うわ。
無理してできる節約なんてたかが知れてるし、そもそも続かない。それで成功するのは難しいのよ。

―― 確かに今の節約を続けるのは辛すぎると、亮も内心は思っていた。

じゃあ、俺はどうしたらいいんですか?

―― ここはミカサに聞くしかない。

そうね。じゃぁ、今日は良い機会だから…

“節約を成功させるためには何が重要か?”

これについて徹底的にレクチャーしようと思うわ。
ただし、かなりハードになるからそこは覚悟しておいて。

は、は、はい。

節約を成功させるためには重要なものとは?

節約を成功の秘訣をレクチャーするミカサ

いきなりだけど・・・ズバリ、節約を成功させるためには何が重要だと思う?

―― 突然、聞かれて戸惑う亮。

成功させるために…?

うーん

………………………
………………………
………………………


















ズバリ、継続して取り組み続けることよ

―― 何をするにしても続けないことには成功にはたどりつかない。

当たり前の大前提だ。それくらいは亮にも分かっていた。

そんなのは分かりきっていることじゃないんですか…?

本当に分かってるつもり?

じゃあ聞くけど、あなた今のかなり無理してる節約をこの先もずっと続けていける自信ある?

―― 意地悪そうな視線を亮に向けて言うミカサ。

うっ…。それは…

分かっているのにできないのが継続なのよね。

続けるってことは、実は一番大きいポイントなのよ。

逆に言えば、継続できるなら成功する確率もかなり大きいと言えるわ。

―― 自分の節約を振り返る亮。

成功率を考えると、かなり低そうに感じた。
どんな節約なら続けられるだろうか?

どんな節約なら継続できるのか…?

無理しないで続けられるものは…?

―― ブツブツとつぶやきながら考える亮に、ミカサはアドバイスする。

まずは大前提として、無理をしすぎるもの、大きな負担が掛かる節約というのはNGよね。

ちょうどあなたが取り組んでいる…食事の量を減らしたり、偏った食生活を強いるようものがこれ。

無理な節約はいつか崩壊するから、継続して取り組むのは難しいのよ。

すでに続けられる自信ないです。

―― 苦笑しつつ素直に告白する亮。

でしょうね。

で、本題はここから。

他にもう1つ節約を継続して取り組むために、重要なものがあるんだけどそれって何だか分かる?

もう1つ?

う〜ん。

1つ目が無理な節約をしない…。

そして2つ目は……………………………………………………

―― 答えられない亮に痺れを切らしてミカサが言う。

…モチベーションよ。

な、、な、なるほど・・・

―― 意外と単純だった答えに安心する亮。

確かに、モチベーションは大事ですよね!

そうよ。

モチベーションがなければ行動を起こすことはできないし、あっても低ければ成果も低くなりがち。

ビジネスの世界でも、「モチベーション×能力=成果」と言い表されほど、成果に大きな影響を与えるものとして重要視されているわ。

それだけモチベーションは重要なものなんだけど、それを保つためには一体どうすれば良いと思う?

自信満々に亮は答える。

気合です!

あなた、全く分かってないわね。

確かに気合で一瞬はモチベーションを持ち直すことは可能かもしれない。

でも、気合だけで頑張り続けることなんて無理で、そのうち下がっていく。

そして、どんどんやる気がなくなっていく…

―― 気合しか思いつかない亮には、打つすべがない。焦って聞く。

ええっ、そんな… どうしたら良いんですか?

あなたならどうする?

どうやったらモチベーションを保ち続けることができると思う?

―― 逆に質問されて、しばし悩む亮。

え~っと、…モチベーションを保ち続けるには…

―― 腕を組み、上を向いたり下を向いたりして、考えを絞り出す。そして自信なさそうにミカサの顔を見上げた。

…具体的な目標を立てるとか?〇〇年〇〇月までに〇〇円貯める!」とか「毎月○万円貯める!」みたいな。

違うわ。

えっ…

――またもや即座に否定され、さすがの亮もカチンときて攻撃的になる。

でも、多くの節約サイトや節約本では「いつまでにいくら貯める」とか「毎月○万円貯める」とかって具体的な目標やタスクを立てさせるじゃないですか?

じゃぁ、あれは間違ってるってことですか?!

そうね。間違っているわね。

―― まくしたてるもあっさりきっぱりと否定される亮。

モチベーションを保ち続けることに関して言えば、具体的な目標やタスクを立てることは、全く有効な手立てではないのよ。

そ、そんな…

亮はがっくりと肩を落とす。

逆に聞くけど、

「〇〇年〇〇月までに〇〇円貯める!」「毎月〇万円貯める!」という文字列を見たところで、あなたのテンションって上がる?ワクワクする?

え?あ…

確かに、そんな文字列を見たところで全く何のやる気も湧いてこない。

〇〇年〇〇月までに〇〇円貯める!」「毎月〇万円貯める!」という文字列を見てテンション上がるの?って聞いてるのよ。

あ、上がらない…です…

愕然とする亮を横目にコーヒーを一口飲み、ミカサはふたたび口を開いた。

これは節約に限らず、仕事でも何でも一緒。

例えば、お正月に多くの人がフェイスブックなんかで、「今年は本を何冊読む!」とか「営業成績〇〇〇万円を達成する!」みたいなことを宣言してたりするけど、あれってその後どうなってるかしら?

そう言えばそんな目標をよく見るかもしれないです。

でも、その後のことなんか気にもしたことない…。人のことだし…

―― って、俺はどうだろう?!亮の頭の中で考えがぐるぐると回る。

ほとんどの人が立てたタスクも実行していないでしょうし、ひどい場合には目標すら忘れてるんじゃないかしら?

具体的な数字を出すことは大事だと思っていたのに、それがダメだなんて…。でも、どうして……?

実は、亮も密かに「毎月3万円の貯金」と目標を立てていたのだった。

先に言っておくけど、別に目標を立てることを否定しているわけじゃないのよ。

具体的な目標を立てること自体は「別の意味で」重要だし、絶対にやるべきだし、実際あなたにもやってもらう予定でいるわ。

だけど、いま私が言いたいのはそういうことじゃないの。分かる?

はい…

分からないような気もするけれど、ここは分かると言っておいた。

いくら頑張って目標やタスクを立てたとしても、目標やタスク自体にモチベーションを上げる効力は全くないの。

だからどれだけ目標を明確にしたり詳細なタスクを組んでもダメなの。もちろん気合もダメ

じゃあ、どうやってモチベーションを上げたら良いんですか?!

半ばヤケクソ気味の亮に、ミカサはしれっと言う。

ズバリ、結論は簡単。

そんなことは誰にもできないのよ。

えっーーーー!?

思わず立ちあがってしまう亮。

モチベーションを無理やり上げることなんて、誰にもできないの。

ええええええええええええっ!!

ミカサの言葉に激しく脱力して、今度はドサッとソファに崩れ落ちる。

ミカサの言葉に激脱力してソファに崩れ落ちる亮

あまりの衝撃に、なんとか反論したい気持ちで口を開いた。

…で、で、でも、世の中には高いモチベーションでもって次々と目標を達成していく人がいるじゃないですか?仕事にしてもスポーツにしても。

いるわね。

じゃ、じゃぁ、あの人達は一体何なんですか?どうして、あんなことができるんですか?!

簡単よ。

それをすることが、彼らの「欲望」そのものだからよ。

広げた手のひらを胸に当ててミカサは続けた。

彼らは、心の底からそれをやりたい、達成したいと思っているの。

やりたくてやりたくて仕方がない。

だからモチベーションがどんどん湧いてくる。

何も彼らは無理やりどうにかしてモチベーションを上げているわけではないのよ。

勝手に、自然と体の内側からモチベーションが、それがやりたいと思っているから湧いてくるの。

だから、周りの人から「よくそんなに頑張れますね!」と言われても、本人からしたら別にそこまで大したことではないのよ。

で、でも、めちゃくちゃ努力はしてますよね?
すごいトレーニングとかしてるじゃないですか

つい口を挟んでしまう亮。

確かに彼らは努力しているわ。

普通以上のたゆまぬ努力をね。

ただ、その努力もそもそもが自分の欲望のためにやっていることだから別に苦じゃないの。

全て好きでやっていることだから。

発明家のあの人も、スポーツ業界のあの人も、IT業界のあの人も、音楽業界のあの人も…、多くの人が凄いと言っている人は大抵そうなのよ

ミカサはいろいろな業界のすごい人を指折り数えてみせる。

もちろん、彼らにだって浮き沈みだってあるわ。

何もかもが上手く訳じゃないからね。
時には自分の力なさに打ちのめされる時もあるでしょう。

けれど、彼らのモチベーションが枯れてしまうことはないわ。

なぜなら、彼らが求めているものは、彼らの「本能そのものが求めているもの」だからよ。

だからモチベーションは湧いてくるし、何度でもチャレンジできる。

一息に話したところで、ミカサはまたコーヒーを飲んだ。

あなたもそうじゃない?

好きなことなら一晩中だって、いくらだってできるでしょ?例えば、子どもたちがいくら注意されても止めないゲームみたいに

例えに力強く頷く亮。最後の最後に分かった気がした。

…話を戻すわね。

つまり、節約でも仕事でも何でもそうだけど、「成功」と思える地点に辿りつくには、諦めずに継続して取り組むこと重要なの。

そして、継続して取り組むためには、その行動の源となる「モチベーション」が特に重要となってくる。

では、そんな大切なモチベーションを、目的達成の為に欠かすことの出来ないモチベーションを…、どうしたら保ち続けることができるのか?

静かにミカサの答えを待つ亮。

…この問いの答えは、もうこれしかないのよ。

ズバリ…

自分の「欲望、本能が求めているもの」、「心の底から追い求めているもの」に取り組むこと。

ただ、それだけ。

欲望…、本能…、心の底から追い求めているもの…だけ

— 亮は口にして繰り返すことで自分の頭と心に刷りこもうとした。

逆に言うと、自分の「本心」に沿わないものに取り組んでも全く意味がないのよ。

いくら外部から「やれやれ!」とハッパを掛けられても、自分の中で理性的に考え取り組んだ方が良いと思えるものでも「本心ではやりたくない!」と思っているものは、やる気のスイッチは入らないし、モチベーションも湧かないのよね。

―― 今の仕事にやる気が出ないのも、そのせいかもしれないと亮は思った。

多くの人が年始に目標を宣言するけど、そのほとんどが上手く行かないのもこのせいなのよ。

結局のところ、その人が「本心から求めている」ものじゃないからよ。

つまり、自分の中では本当はやりたくないと思っているものは、いくら取り組んでもダメなのよ。いくら目標を明確化しても、いくらタスクを細く設計しても、周りに宣言しても、モチベーションは湧かないのよね。

何故なら、心が躍らないし、ワクワクしないし、気持ちが付いていかないから。

ミカサは立ち上がり、カウンターから追加のコーヒー持って、座っている亮に近づいて言う。

だからこそ、この時点であなたに是非やってもらいたいことがあるの。

やってもらいたいこと?

―― そばに来たミカサとその言葉に緊張が高まる亮。

そばに来たミカサとその言葉に緊張してしまう亮

そう。私達と本格的に関わる前に…本格的な節約に取り組む前に…あえてこの時期だからこそやってもらいたいことが。

コーヒーを手に座り、一口飲んでから、亮の目を見てゆっくりと力強くミカサは言った。

それはズバリ、あなたの人生について今一度しっかりと向き合い、「あなたの本心は何を求めているのか?」を明確にしてほしいの。

そして、その上で、「あなたの人生に本当に節約が必要なのかどうか?」を考えて欲しいのよ。

―― ミカサの言葉に頷く亮。

でも、何て返事をしたらいいのか分からなかった・・・

考え込んで何も言わない亮に、さらに突っ込んで言うミカサ。

あなたはこの先、一体どういった人生を歩みたいのか?
あなたの人生の目的は何なのか?
本当の本当のところは、どうしたいのか?

そして、あなたが歩みたいと思っている人生において、節約はどう関わってくるのか?

あなたはどうして、節約をするのか?
あなたが求める人生を歩むのに節約は必要不可欠なのか?

これについて真剣に考えて答えを導き出してほしいの。

亮を見つめるミカサの顔も真剣そのものだった。

残念ながら、一般的な節約本や節約サイトではこの辺りの「人生の目的」や「人生と節約の関わり合い」については、ほとんど触れられないわ。

あってもせいぜい「節約に目的を持ちましょう!」くらいで片付けられてしまう。

だけど私達、「節約エージェント」はそうじゃないの。

こういった部分こそ大切にしているのよ。

「自分自身の人生」に真剣に向き合い、自分はどう生きていきたいのか? そこに節約はどう絡んでくるのか?

これらについて考え、自分自身が100%納得できる答えを導き出し、歩むべき方向を明確に定める。

こういた工程を何よりも重要視しているのよ。

なぜなら、この工程をどれだけしっかりやるか?により、節約が、引いては人生が上手くいくか?が決まってくるからよ。

人生が?
そこまで?

―― まさか人生についてまで考えさせられるとは思ってもみなかった亮。

人間は、「自分が本当に求める理想像やビジョン」に向かって努力するときに本気で行動し、最大限のパフォーマンスを発揮する生き物なの。

つまり、人を動かすことができるのは、自分自身との対話により導き出した「本当にこうなりたい!」「こうしたい!」と心から思える明確な理想像やビジョンだけなの。

だから私たちは何よりも、「それ」・・・

「人間を突き動かすエネルギー源である理想像やビジョン」を明確にすることを重要視しているの。

そして、それが明確になったとき、あなたは本気で行動し最高のパフォーマンスを発揮できるようになるわ。

―― ミカサたち節約エージェントはどこまでの本気を求めているのか?亮にはまだ理想像やビジョンまでは見えていなかった。

…つまり、本気になれってことですよね。

モチベーションが勝手にわいてきて、自然と本気になれるような理想像やビジョンをまず見つけて…

そうは言うものの、自分を突き動かすエネルギーなんて未だかつて感じたことがない亮の場合、そこから見つける必要がある。

言葉尻に自信のなさが出ていた。

ただし、注意しなければならないのは、理想像やビジョンというのは漫然としたものやどこからか拾ってきたものはダメだということね。

もちろん誰かに押しつけられたものじゃダメだし、周りを意識して格好を付けたものでもダメ、遠慮したものでもダメなのよ。

あくまでも自分自身に「100%正直」なもの、「迷い」や「偽り」のないもの。つまり、自分自身の「本心」に沿ったものである必要があるわ。

―― “本心”という言葉に亮の心臓は波打った。

今の今までずっと自分の本心について考えたりしたことがなかったからだった。

考えたことがない、と言うよりは、考えないように、触れないようにしていたのだ。

そもそも、 “本心”なんて隠すのが当たり前だと思っていた。

ずっともう、それこそ、子どものころから。

そのせいか、今や自分の本心が何なのかすら分からなくなっていた。

そんな自分が、本心を晒すことができるのだろうか…?!

もしかしたら、今の自分にとってそれが一番の課題なのかもしれないと思った。

でも、もし、できるなら…。

もし、できるなら…。

自分の本心を…

俺はどうしたら導き出すことができますか?

亮はすがるようにミカサに聞いた。

呪縛のようなものに囚われ、自分の本心に蓋をしている亮をミカサは見抜いていたのかもしれない。

優しい声になって言う。

…素直になればいいのよ。

ただただ素直になって、あなたの心の中にある欲望を解放してあげれば良いのよ。

抑え込まれてきた欲望を。長い間、フタをしてきた感情を。

ギラギラと、ドロドロとした欲望を呼び覚ましてあげれば良いのよ。

例え、誰にも言えないものだっていいの。

なぜなら、誰にも見せる必要なんてないし、比べる必要なんてないのだから。

周りは関係ない。

問題なのは、あなたがどうしたいのか?だけよ。

―― 誰にも言えないくらいの欲望…。

…本当に良いんですか?

ええ、誰にも見せる必要なんてないし、比べる必要なんてないんだから。

周りは関係ないの。問題なのは、あなたがどうしたいのか?だけよ。

「あなたは本当はどうしたいのか?」

ただ、それだけ。ただただ、それだけなのよ

「お、俺が本当はどうしたいのか…」

顔を赤くして呟く亮に近づくミカサ。耳元で囁く。

亮の耳元で囁くミカサ

ギラギラした欲望やドロドロした欲望だと気が引ける?

汚らわしい?

欲望を追い求めるなんて、イケないことのように感じる?

えっ、うぅ…

ますます鼓動が早くなる亮。

でも、そんなことないから安心して。

あなたにはまだ分からないかもしれないけど…。あなたの中にある欲望を具体的に求めていくその先で、必ず他の人に役立つ時、世の中に貢献できる時が来るから。

―― 言葉を発せずに苦しんでいるような表情の亮。

お構いなしにミカサは続ける。

あなたが知っているあの人も、この人も実は最初はそうだったのよ。

全ての始まりは、自分の中にあるギラギラしたドロドロした欲望なのよ。

だからあなたの欲望を否定しないで欲しいの。最初は自分のことだけを考えてても良いの。

―― 言いたいことも言えず、自分を抑えて生きてきた亮にとって、素直になって欲望を晒すなんてありえないことだった。

考えるだけでも恥ずかしくて、新手の拷問を受けているような気すらした。

たとえ、どんなに欲望がドロドロ、ギラギラしてても、そのままで終ることはないわ。

必ず、他者貢献の「善の行い」に変わっていくタイミングが訪れる。

人間とはそういうものなの。人間とは、最終的にそういうところを求めていくものなの。だから心配しないで。

攻め調子から一転、ソフトに語りかけるミカサ。

今は徹底的に自分自身に素直になって、欲望を洗いざらい挙げていって欲しいの。

そうすることで、「あなた自身が本当に求めている道」を明らかにすることが出来るのだから。

そして、「あなた自身が本当に目指すべき理想の姿やビジョン」が描けるのだから。

さぁ全てを解放するのよ!!!

全てを!!!

―― 催眠術にでもかかったかのように、ただただミカサの言葉だけが頭の中に響いていた。

解放するの。全てを…

全てを…

全てを解放するのよ!

ミカサの言葉が脳内でリフレインする。

叫んでいる亮

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!

頭の芯が熱くて痛い!

今まで、誰にも言えなかった、表せなかった、ふさぎ込まれていた亮の感情が、欲望があふれ出た瞬間だった。

ゆらりと亮はソファから立ち上がる。

俺は…、俺は…。俺の望むことは…

ずっと自分の心の奥底に秘めていた想いが爆発した。

文葉を射止めて結婚したい!

バカにした奴らを見返したい!!

世の中に認められたい!!!

―― 思い切り叫んで全部吐き出したら、体中の力が抜けた亮。

ふたたびソファに崩れ落ちるように座った。

顔が赤く、息も荒い。

かなり長い間抑圧されていた想いなのだとミカサは感じた。

亮が落ち着くのを待って、ミカサはゆっくりと静かに言う。

それがあなたの欲望なのね。

それがあなたが今、本当に本当に素直に心の底から求めているもの。

達成したいと思っていることなのよ。

―― 疲れ切った様子ではあるが、納得した表情で頷く亮。

だけど少し振り返って考えて欲しいの。

その欲望を叶えるために、あなたがここ数日に渡って取ってきた行動って、想いを叶えるために有効な行動だったと思う?

時間の使い方、労力の使い方、お金の使い方、それらって、あなたが心の底から求めていることを達成するのにダイレクトに役立っていた?どう?

ミカサの言葉を受けて、亮は冷静に考える。

正直、それじゃぁ全然難しいというか…

自分のことながら苦笑してしまう亮。

そうよね。そんなバカみたいな節約をしてたら文葉ちゃんを射止めることなんで出来ないわよね?

貧乏臭くて、不健康で、そんな無茶な節約をしている姿なんて彼女に見せられないわよね?

…そうですよね。

スマートで、格好良くて、ついつい彼女も真似したくなるような、そんな節約をしている姿を見せないとダメですよね。

亮の答えに満足げに微笑むとミカサは言った。

それと同じで、バカにした人達を見返して世の中に認められる存在には、あなたは、どんな「あなた」になっている必要があるかしら?

どんな俺に…

もっと具体的に言うと、

どういう立ち居振る舞いの、どういう言動の、何に時間とお金と労力を費やし、何に一生懸命に取り組んでいる、どういう人物になっている必要があるかしから?

その理想的な姿ってどういうものかしら?

それらを徹底的に具体的にありありとその姿を描いてほしいの。

何故なら、それこそがあなたが求めていることを叶えてくれる自分自身の理想像だから。

それこそが、欲望から導き出した「本当の理想像・ビジョン」だから。

ミカサは真剣な顔で頷く亮の肩をポンと叩いた。

さぁひと踏ん張り!

…と、言ってももうこんな時間ね。

―― 昼過ぎに来たのに、いつの間にか外は陽が影っていた。

あなたお腹減らない?

そう言えば…

ここに来た時すでに空腹だったことを思い出した亮。

超、腹へってます!

素直な答えにクスクスと笑ってミカサは言う。

まだまだ夜は長いんだからまずは腹ごしらえ。

今日は、特別に好きなもの何でも食べていいわよ。

BOZUさんのおごりだから。

えええええ?!

「え!」っと驚くBOZUさん

カウンターにいたBOZUが今日初めて声を上げた。

あ、いたんですね。こんばんは。じゃあ…、かつ丼とかあったら食べたいです。すみません。

じゃあ、私も同じので。

……かつ丼な…

ブツブツ言って、BOZUはカウンターの裏へ引っ込んでいった。

じゃあ、私はお茶でも入れるわね。











ミカサもカウンターに向かい、ソファに残った亮は、脱力して背もたれに寄りかかり天井を見上げる。

「やるっきゃねーよな…」とソファーにもたれて考える亮











「やるっきゃねーよな…」

亮の野望を叶えるための第一歩が、この夜まさに踏み出されたのだった。

第2話Fin.

プロフィール

ミカサ

【出身地:日本】 一般的なサラリーマンの家庭に生まれた庶民派の18歳。 両親とは似つかない高い身体能力と頭脳を併せ持ち、学費免除の特待生としてエージェントスクールへ。 ジャスミンと共にナターシャの元で修行する日々を送る。 訓練生生活に不満はないが唯一、ヘッダーの映りが悪いことが不満だとか。 その他、四方を高い壁に囲まれた村の夢をたまに見るようだが、遠い昔の話なのか外国の話なのか本人にも良くわかっていない。

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