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節約エージェント エピソード1

1話:全ては自分次第。 ―Who will be the next?―

節約エージェント 先輩A

「おい 亮っーーー!」
「バックリンク用のWPの立ち上げ、昨日までに済ませとけっつってただろ!」

先輩の1人がデスクを叩く。

外注ライターの記事チェックも全然済んでねーじゃねーか!

す、すみません。昨日は夜中まで中古ドメインを探していたんですが、なかなか良質なのが見つからなくて…

そんなもん適当なドメインでいいんだよ!
どうせ細客用のSEO対策なんだし、キーワードもゆるゆるだろ?

す、すみません。

…ったく。そんなこともまだ分かってねーのかよ。

おめーはホント要領がわりーわ。
さっさと立ち上げて、今週中に記事も全部入れとけよ!

160サイトな!!

えっ!…

――― 文句を言いながら先輩は事務所を出て行った。

WEBディレクターなんていう肩書は名ばかりで、内実は体のいい便利屋。

いわゆるブラックハットSEOにまつわる泥臭く面倒な作業が全てが回って来る。

席でカップ麺をすする亮に、先輩のプログラマーが言う・・・

なんだよ亮、飯それだけか? しけてんな~。

給料日前で金なくて。

――― 情けない顔で笑う亮君。

スロットで負けまくってたもんな。
そんなんじゃ、キャバクラも行けねーな。

――― 先輩に付き合わされ、無理やりやらされたスロットで大負けしたのだ。

恒例になっている給料日後のキャバクラ通いも先輩が指名嬢に良い顔をしたくて連れて行かれているが、本音ではキツイ。

食ったらコーヒー頼むわ。お前のも奢ってやるから。

――― 都合よく先輩に使われる亮の姿に、女子社員からは同情の視線が。

陰で「可哀想」と言われているのも知っていた。

160サイト分の作業はやってもやっても終わらず、亮はすでに2日も会社に泊まっていた。

今日は帰りて~…。
いいかげんシャワー浴びないとヤバイだろ。

――― 1人でブツブツ言いながら残業していると、忘れ物を取りに事務の桃山文葉(ももやま ふみは)が戻って来た。

桃山文葉

まだ仕事してたの?!
ていうか、まさか今夜も帰らないとか…?

――― 亮が会社に泊まりこんでいることを知っていたのだ。

いや~、さすがに今日は帰らなきゃと思ってたとこ。

どうせもう間に合わないし。

今週中に160サイトとかマジ無理だったわ…

――― がっくりと肩を落として、キーボードに突っ伏す。

…大丈夫?

――― 心配そうに声をかけてくる文葉に亮は言う。

大丈夫だけどさ…
ま、ちょっとやってらんねーなー的な。
あー、疲れた…

一杯付きあってくれない?

――― 内心ドキドキしつつ、なるべく自然に誘う亮。

年齢も入社時期も近い桃山文葉とは同期みたいな感じで親しみがあった。

…そうね。

明日は休みだし、愚痴くらい聞いてあげようかな。

\ やった!! /

亮は文葉に見えないように小さくガッツポーズをした。


居酒屋にて

焼き鳥屋

焼き鳥屋でビール

ウェブディレクターってやっぱり大変?

私、全然わからないけど…。うちの会社、体を壊す人が多いでしょ。

槙島くんは大丈夫?

いやまぁ俺の場合ウェブディレクターって言っても・・・

ん? 何て?

いやいや、何でもない、何でも…。

まぁとにかく、毎日クタクタなのは確かかなぁ…

――― 何とも答え難く、苦笑いするしかない亮。

自分の仕事の内容は別にして、実際、うちは間違いなくブラック企業だろうし、ボロボロになるまで働かされるんだろうなと思っている。

もっと人間らしい生活を送らなきゃね。

せめてお弁当とか作ってみたら?
毎日カップめんとかダメだよ。

――― そう言われて会社での文葉を思い出すと、いつも弁当を持ってきている。

きっと自炊もしているんだろう。

俺、料理できない…

彼女に教えてもらいなよ。

彼女…いるわけないじゃん。

いたらこんなに残業なんてしてないし。

そっか…。そうだよね。

毎日毎日、遅くまで残業して、休日出勤ばかりしている恋人は私もちょっと嫌かも。

――― 事務の文葉は社員の出勤状況も把握していた。

俺、うちの会社にいる限り結婚とかできなそう。

――― 自分で言ってブルーになってしまった亮に文葉はあわてて付け足す。

あ、でも!

仕事を格好良くこなしている人は好きかな。


財布を出す桃山文葉

いくらだった?

――― 店の前で文葉が財布を出す。

これぐらいいって。

いつもお世話になってるからさ。

お世話なんてしてないよ。

いやいや、精神的に助かってんの。

桃山が事務だと気が楽っつーか。

それにスロット勝って今ちょっとリッチだし。

――― 亮は文葉に好意をもっているせいもあって、つい気前よくなってしまう。

でも、そんな亮に文葉は冷静に返すのだった。

そんな簡単に人におごっちゃダメじゃない?
だいたい槙島くん計画性なさすぎ。

先輩とかに流されてお金使ったり、無駄遣いしたり。

給料日前いつもピンチ状態でしょ?
貯金とかしてる?

――― 説教のごとくたたみかけられ、返す言葉もない亮。

確かにいつもカツカツだけど、みんなそんなもんじゃないの?

みんながそうとか知らない。

私は、お金にだらしないの嫌だから。

じゃ、また来週。

――― 文葉は亮の手にお金を置いて駅に入ってしまった。

家に帰り、亮は疲れた体をベッドに投げ出す

あー、マジ凹む。

――― 別れ際の文葉の呆れ顔を思い出していた。

情けねーな、俺…。

好きな女に金の心配とかされちゃって。

――― 文葉とは何の進展もない。ただの同僚から全く抜け出せていない。

この先、文葉とうまくいくことなんてあるんだろうか?

金もねえ、休みねえ、仕事もイマイチ…そんな男の恋人にはなりたくない…か。

――― ネガティブなことしか考えられないし、今のままでは将来すら見えない。

仕事を軽くこなせるスキルさえあったら、もっと稼げんのかな?

――― そう思いはすれども、今やっている単純作業じゃ一人前のウェブディレクターなんてなれっこない。

…スクールとか行ってみるかな。

――― とはいえ、スクールに行くにも費用がかかると亮は頭の中で計算した。

何をするにも金だよ!

もっとしっかりしないとマジやばい。
真面目に金貯めよう!

――― ベッドから飛び起きて、とりあえずグーグルで検索してみることに。

節約 相談 無料 女性 しかも美人

“節約 相談 無料 女性 しかも美人”

さすがにこんなキーワードで出てくるわけないか…

――― なんて、ぶつぶつ言いながら、グーグルのページをめくる。

926ページまで開いたところで意味深なツイッターの呟きに目が留まる。

本気で節約したい方。 変わりたい方。 “専門のエージェントが無料でレクチャー”

エージェント?

・・・は?w

――― 訝しげに思いながらも、貼られているリンクをクリックせずにはいられない・・・

本気であれば無料で支援。
まずはあなたを試させて頂きます。
全てはそこから。

――― 短い文章と相談予約の申込みフォームが置かれただけのサイトが表示された。

ちょw これだけ?

待て待て、さすがにこれは俺でも怪しいと分かるわ…
新手の詐欺か…?

――― サイトには他に情報がなかった。

“節約エージェント”とはいったい何なのか?

申し込んだりしたら変な請求が来たりしてw

――― 画面のあちこちにまんべんなくマウスを動かしてみるも隠しリンクなどもなく一切が謎だった。

検索かけてもこのツイ以外にヒットしねーってのもどうよ?

――― 不思議なことにweb上にも詳しい情報が出てこないのだ。

秘密のエージェントってかww?

興味本位で申し込んだらやっぱヤバイかな?
…けど、どっちにしろ俺には後がないし・・・

いろいろと疑問はありつつも・・・

どーせ取られる金も失うもんもないんだしなwよっ!と

――― トン!とEnterキーを弾むように押し、送信してしまったのだった。

翌日・・・

申し込みの後、亮のもとに送られてきたマップ付きメール。

アジトへのマップ

指定された都内のビルに向かうも、看板などそれらしきものが見当たらない。

マジかー…。でも番地は合ってるはずだし、ここしかねーよな。

――― ビルに入り、指定された部屋の前に立つ。

節約エージェントのアジト前

何も書いてねーしw

――― もはや笑うしかない。

物音がしない静かなフロアで、人が居るのか居ないのか分からない状況に緊張してしまう。

恐る恐るドアをノックする。

「コンコン」

――― 返事がない。

「コンコン!」
「コンコン!」

・・・約束の時間も過ぎている。

亮は意を決してドアノブを回してみた。

節約エージェントのアジトのドア

開いてるじゃん…

――― ゆっくり開けて、のぞいてみる。

Barのようなカウンターが見えるが、薄暗くて良くわからない。

こ、こんにちは…

――― 声を出してみるも返事はなし。

すみませーん…

――― と言いながら部屋に踏み込んだとき・・・

走るスキンヘッドでサングラスの男

突然、スキンヘッドの男がカウンターの奥から現れた。

や、やべっ!!!!

(部屋間違った?!)

――― 男は、無言で亮に向かって来て、腕を掴む。

すみません!
へ、部屋間違えましたっ!!

ご、ごめんなさい!! (こ、殺される~?!)

――― 逃げたくても身動きできないでいると、その男が言った。

槙島だな?

えっえっえっええええ~?!

おい!聞いてんだよ。
槙島亮なのか?どうなんだ?

はっはっはっはははい!槙島です!!
ちょちょちょちょっ…、命だけは…命だけは…

来たみたいだぜ。ミカサちゃん。

――― 男は腕を掴んだまま、後ろのカウンターに向かって声を掛けた。

ミカサの登場

あなたが槙島亮さんね?

――― すらりとした美人が出てきて亮の前に立つ。

は、はい…

安心してください。
部屋は間違えていません。

へ?

私たちは節約エージェントです。
約束の時間ぴったりですね。

――― 腕時計で時間を見るミカサ。

ま、座りな。

――― 男が亮の腕を掴んだままソファーに案内した。

うわわ…。はい。

――― 怖がる亮を座らせると男はようやく手を離し、カウンターに戻って行った。

ミカサちゃん、コーヒーでいいか?

ええ、お願い。亮さんはコーヒー?紅茶?日本茶?

あ、えっと、コーヒーで…

向い側にミカサが座り、何事もなかったかのように話し始めた。

鋭いまなざしで見つめるミカサ

さて…

まずはお話を伺う前に、知ってもらいたいことがあります。

知ってもらいたいこと?

ええ、節約エージェントについてです。

――― 亮にとっても、それは知りたかったことだった。
大きく頷いて頭を下げる。

はい。よろしくお願いします。

節約エージェントは、とある目的のために作られた組織です。

若者の節約を支援することで、非常に有益な効果を得られると考えています。

だから支援は無料・・・

ただ、それをあなたが受けられるかはまだ決まっていません。

え?

まずはあなたの本気度を確かめさせてもらう必要があります。

あなたが本気であれば支援する、ということです。

…なるほど。

(やっぱり簡単には無料になんねーか・・・)

ということで、あなたのお話を伺うわけですが…。

どんな結果になるにしろ、今日のことは一切、口外しないでください。

もしも口外したら…

分かってるよな?

――― ドン!!とテーブルにコーヒーを置いて、男が亮に睨みを利かせた。

は、はい!言いません!

誰にも何も言いません!!

――― ミカサはコーヒーをゆっくりと一口飲み、膝に乗せると亮に言った。

では、亮さんが節約しようという気持ちになった経緯を話してください。

あ、はい。えーっと、何から話せばいいかな…。

僕は小さいIT系の会社でWEBディレクターをやっているんですけど、“ディレクター”なんてカッコ良さそうな肩書でも、実際の仕事はディレクションどころか先輩に言われた作業をこなすだけの誰でもできる仕事で…

――― うまく話すことが苦手そうな亮の説明をミカサはゆっくり頷きながら聞く。

毎日遅くまで残業して、休日出勤もあって…、それなのに給料は安くて、残業代も出ない・・・

このままボロボロになるまで便利に使われるんだろうな…って予想できる最悪な会社なんです。

いわゆるブラック企業だと?

そうです。

たぶん。

で、会社が悪い。

先輩が悪い、と?

――― ミカサが亮に聞いた。

悪いって言うか…。

まぁ あんなろくでもない業務だと分かってたら、多分入ってなかったでしょうね・・・。

でも、辞めても他に仕事もないし、辞めるにやめられないと?

――― 情けない現状を改めて繰り返されると、亮も苦笑いするしかない。

まあ、身も蓋もない言い方ですけどその通りです。

――― とは言え、落ち込んでばかりいても何も始まらない。

亮は顔を上げて力説した。

このまま会社に使い捨てにされるくらいなら、独立とかフリーになって稼ぎたいんです。

でも、今の俺にはたいしたスキルもない。

スクールとかに行きたいと思っても先立つものもない。

だから…節約して貯金したいんです!

――― でも、でも…ばかりの言い訳がましい説明を熱心にして、亮は節約へ結論づけた。

本人はそれらしい理由だと悦に入るも、ミカサの言葉は容赦ない。

…気付くの遅すぎですね。

パチンコやキャバクラで散財しなければ、スクールはとっくに行けてるんじゃないですか?

スキルを得ることで職場も変えられていたかもしれませんね。

確かに会社も悪いですが、そもそもあなた自身にも大きな問題があるんじゃないですか?

――― ミカサに、全ては自分に責任がある!とばかりに一喝され、しかもどれも最もな意見で亮はぐうの音も出ない。

今の会社から逃げても、自分が変わらないと何も変わりません。

話を聞く限りでは、きっとあなたはこれからも変わらないと思う。

そんな人はうちも支援できません。

――― 追い打ちをかけるようなミカサの言葉に、亮はようやく口を開く。

か、変わります!

変わりたいと思って、ここに来たんです。
ダメ出しするのは待ってください!

じ、実は…、好きな女性がいるんです!だから…

好きな女性?

――― ミカサに聞き返され、最後の捨て身とばかりに熱く告白する。

スキルを磨いて、仕事ができる男になりたいんです。

そういう風に考えるようになったのは、その彼女のことが好きだからです!

真面目な彼女に認められるような男になりたい。

だから頑張りたい!!

――― 赤面しながら語る亮とは逆に、ミカサは冷静に聞き返してくる。

つまり、好きな人のために節約する、と。

はい!

なるほど…

――― 数秒の沈黙のあと、ミカサが聞いてきた。

その彼女って、どんな子なの?

とにかく真面目で、派手じゃないけど凄く可愛いんです!

仕事も、会社の事務のほとんどを1人で対応していて、税務とか労務関係とかも専門家とやり取りしながら、しっかりこなしてるし…。

それに何よりもすごく倹約家で、お金に厳しいというか…

お金に厳しい?
どんな風に?

――― 倹約家、というくだりにミカサが興味を示す。

僕がおごろうとしたときも、逆に怒られたぐらいで。

素直におごられないんだ。

その彼女に気に入られるためにも、節約して…仕事のスキルを上げて…

――― だんだんと自己陶酔してくる亮。

なるほど。
で、写真は?

写真は…、

あっ…写メならあります

盗撮気味な桃山文葉の写真

――― 偶然に写り込んだようでいて、やや隠し撮りに見えなくもないスマホ画像を見せる。

スマホを手に取り、覗き込んだミカサが驚きの声を上げた。

えっ、文葉ちゃん?!

えぇっ?
なんで?!

――― 名前を当てられて亮も驚く。

…彼女、まさか桃山文葉?じゃないわよね?

桃山文葉です!
でも、えっ!?

…お金に厳しい女性。
確かにそれは納得だわ。

――― 頷くミカサに亮が聞く。

まっ、まさか知り合い?!
納得って何が?

――― 話してもいいかどうか迷うミカサ。

当時、文葉の家は貧しく、男子からイジメられていたのだ。

俺、本当に桃山さんのことは本気なんです。

だから教えてください!

――― 真剣な顔で言う亮の気持ちも分からなくはないけれど、ミカサは文葉の気持ちを考えると話すべきではないと思った。

…マジなら過去のことは関係ないんじゃない?

――― これは正直なミカサの気持ちであった。

とにかく、お金の大切さを知っていることは間違いないし、生半可な節約じゃ、きっと彼女の期待には答えられないわね。

――― ミカサは亮を強く見据える。

亮も決意の眼差しでミカサに返した。

とにかく俺、本気で本当に変わりたい。

…今はこんな俺だけど、桃山さんに好きになってもらいたい。

――― しばらく見つめ合ったあと、ミカサが大きくため息を漏らす。

…思った以上にダメなタイプだったけど、一応、熱い気持ちがあるのは分かったわ。

じゃあ…

――― 亮の表情が明るくなる。

ただ、ここからは本部に判断を乞うしかないの。

――― ミカサの言葉にまた落ち込む亮。

本部がNGを出したときは残念だけど諦めてもらうわ。

――― そう言いながら、ミカサは立ち上がり、本部に連絡を取り始めた。

連絡を待つ3人に沈黙の時間が流れる。

エージェント本部からの連絡を待つ3人

スキンヘッドの男がグラスを磨く音だけが部屋に響き、ミカサもただ静かにコーヒーを飲んでいる。

ソファーで下を向きながら答えを待つ亮には、長い長い時間だった・・・

「ピリリリリ…!」
「ピリリリリ…!」

着信音に驚いて、亮はソファーから転げ落ちそうになる。

ミカサです。

はい。そうです。

了解です。

――― 短い会話のあと電話を切ったミカサが、ドキドキで待つ亮の前に座った。

…最後に、1つだけ聞くわ。

は、はい!

あなた、本気で取り組めるの?

今までの自分を捨てて、お金の無駄、時間の無駄をなくすために。

はい!!

――― 亮は力強く答える。

会社のことも、先輩のこともそうよ。
すべてを自分の行動責任として捉え、自分を変えることが出来るの?

できます!

――― 変わりたい!亮は強くそう思っていた。

…分かりました。

――― ミカサの言葉に亮の顔がほころぶ。

じゃあ…

はっきり言って、我々「節約エージェント」の指導は相当厳しいものになります。

付いてこれないと判断した場合は、容赦なく切ります!

それだけは肝に銘じておいて。

はい!

今後のことは、追って連絡するわ。
それまで余計なことは何もしないで。

――― ミカサが立ち上がり、ドアに向かって歩き始めた。

えっ!?ということは…?
助けてもらえるんですか?

そうよ。
あなたのこと、正式に支援することになったわ。

あ、ありがとうございます!
俺、頑張ります!!

――― 亮は立ち上がって頭を下げた。

…と、ところで・・・
料金の方は本当に無料なんでしょうか?

――― ドアを開けようとしたミカサが振り返って言う。

あなた私の話、本当に聞いてた?
逆に聞くけど、払えるお金があるの?

いや、それは、あの…

――― 呆れた表情でソファーに戻るミカサ。

最初に説明したけど…

――― 直立不動のまま亮は聞く。

節約エージェントは、とある目的のために作られた組織。

特に若者の節約を支援することで有益な効果を得られると考えているわ。

あ・な・たは、その中の1人。

簡単に言うと、サンプルってとこね。

さ、サンプル??…

――― ミカサの説明で分かったような分からないような?と、頭をひねる亮。

…とある目的って?

これ以上のことをあなたが知る必要はないわ。

あなたは与えられた節約ミッションをやるだけ、それだけよ。

――― ぴしゃりと言い切られ、それ以上は追及できない亮。

じゃあ、これ以上の詮索はなし。
もちろん、一切の口外は禁止。

もしも口外したときは・・・

分かってるよな?

――― 突然、スキンヘッドの男が割って入って言った。

は、は、は、はい!!

はっはっはっはっはー

――― 高笑いしながら男はカウンターに戻り、ミカサが苦笑しながら続けた。

まぁ、とにかく文葉ちゃんのためにも、時間をかけてしっかり倹約を身につけなさい。

――― そして、ミカサはいっそう厳しい目になって亮を見つめる。

小学校のときに文葉の味方になってあげられなかったことを、ミカサは今でも悔やんでいた。

そのことも、亮の審査を通した1つの要因だったのかもしれない。

あなたに文葉ちゃんを任せていいかどうかも、しっかり見極めさせてもらうからね。

は、はいっ!がんばります!!

プロフィール

ミカサ

【出身地:日本】 一般的なサラリーマンの家庭に生まれた庶民派の18歳。 両親とは似つかない高い身体能力と頭脳を併せ持ち、学費免除の特待生としてエージェントスクールへ。 ジャスミンと共にナターシャの元で修行する日々を送る。 訓練生生活に不満はないが唯一、ヘッダーの映りが悪いことが不満だとか。 その他、四方を高い壁に囲まれた村の夢をたまに見るようだが、遠い昔の話なのか外国の話なのか本人にも良くわかっていない。

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